第一回 都営墓地「青山霊園」篇
「掃苔(そうたい)」という言葉をご存じでしょうか?
墓石の苔を掃く(掃除する)という意味で、お墓参りのことだそうです。江戸時代には、趣味として、著名人のお墓参りをし、その人達の生前の事績に思いを馳せたといいます。
というわけで、「ぼえんそう」スタッフが、いろんなお墓を巡り、自分にふさわしいお墓を探そうというコラムを始めました。
さて、第1回は日本で最もメジャーで人気ブランドの都営墓地「青山霊園」。
紅葉も終りかけの小春日和は、まさに掃苔日和でした。青山通りの外苑前駅から南へ少し歩くと、すぐに中央入口に到着。管理事務所で案内図をもらって、掃苔を開始。
霊園の中央を貫通する道は桜並木です。昔、お酒を飲んでタクシーで六本木に向かう時、夜桜満開のこの道を通った記憶がよみがえりました。今はすっかり葉を落として寒々しい感じですが、春の景色を想像すると、人気の霊園であることが納得できます。
案内図をたよりに、まず明治維新の3傑と称される大久保利通のお墓に。いやいやさすがに立派です。青山霊園には、明治から昭和にかけての、日本史の教科書に登場する政財界や芸術、芸能の世界の著名人がたくさん眠っています。乃木希典、犬養毅、吉田茂、志賀直哉、斉藤茂吉、6代目中村歌右衛門、9代目市川団十郎・・・。どのお墓も、偉人達のお墓に見えてきます。こんな場所に自分が一緒に眠るとしたら、ちょっと落ち着かないかもしれません。
桜の並木道に戻ると、ジョギング中の外人さんや、犬の散歩をするハイソな雰囲気の夫婦とすれ違います。道の右側に外人墓地の区域が現れ、やっぱり六本木が近いから?と見当はずれなことを考えたりしながら、左前方の高層ビルを仰ぎ見ます。外人墓地を散策し、中央の大きな道路を超えてなだらかな坂道を下ると、麻布側の墓地下に至ります。樹木に囲まれた医学者北里柴三郎のお墓、物理学者長岡半太郎のお墓に手を合わせ、再び来た道を戻り、芸能人の葬儀でおなじみの青山葬儀場近くの尾崎紅葉のお墓参りをして、今日の掃苔の終了です。
こんな場所で眠れたらいいね。青山でのショッピングの帰りや、春のお花見のついでにお墓参りしてくれたら最高です!でも夢のまた夢。ちなみに、平成26年の公募数は50、倍率は約11倍、永代使用料は約400万円から1000万円で、運とお金がないと入手は難しい。でも、自分らしい納得のお墓を探したい!見つけるぞ!まだまだ「掃苔」の旅を続けます。
数年前に若くして奥さんを亡くされた知り合いは、どうしてもここに奥さんを眠らせたくて、毎年ずっと抽選申し込みを続けています。当選されることを祈ります。
ライター:OHSAMA
桜並木、春のお花見が楽しみです
そびえたつ!大久保利通のお墓
都心の高層ビルを眺める